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日本人の6人に1人が貧困状態

「絶対的貧困」と「相対的貧困」

貧困状態は食事がないほど生命の危機に瀕していることをイメージして、日本には貧困はないと考えている人が多くいます。しかし貧困には大きく分けて「絶対的貧困」と「相対的貧困」、の2種類あります。

「貧困率」は、どれくらいの割合の人が貧困状態にあるかを表す数値です。

世界銀行は1993年の購買力平価換算で1日あたりの生活費1ドルを貧困ラインと設定し、それ未満で生活している人々を絶対的貧困層(または極貧層)と定義しました。「絶対的貧困」はこのような状況に陥っている発展途上国の貧困を表すのによく指標として使われています。

 

先進国の貧困を表すのによく使われるのが「相対的貧困」です。
この基準では先進国の平均よりも日本は貧困率が高い国になっています。
大半の OECD 加盟国でも同じ傾向がありますが、日本は1980 年代中盤から所得格差が拡大しています。
OECD2015-In-It-Together-Highlights(OECD日本カントリーノート)によると、人口の上位 10%の富裕層の平均所得と下位 10%の平均所得の格差は2013年のOECD平均は9.6倍ですが、日本で公表されている2011年のデータの平均所得の格差10.7倍はOECDの2013年の9.6倍を上回います。
かつて1970年代には日本は「一億総中流」という言葉で良く表現されていました。日本国民の大多数が自分を中流階級だと感じていました。日本は先進国では所得格差が少ない国と思われていましたが、1980 年中盤に7 倍、1990 年代中盤に 8 倍、2009 年には、10.7 倍に人口の上位 10%の富裕層の平均所得と下位 10%の平均所得の格差が年々広がっています。
2010年のOECDのFactbookによると日本は先進国30か国中、貧困率が4番目に高い国なりました。

先進国の貧困を表す「相対的貧困率」は,OECDの作成基準に基づき,等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分に満たない世帯員の割合をいいます。


具体的には、厚生労働省の「平成25年 国民生活基礎調査」の下図20のように、所得を世帯人数に振り分けて高さ順に並べ、可処分所得の中央値 (平成25年の場合は244万円)を基準に、その半分の貧困線(122万円)に満たない人が占める割合が日本の相対的貧困率です。

図20 等価可処分所得金額別にみた世帯員数の累積度数分布

つまり等価可処分所得の中央値=244万円の半分の122万円未満の人々の割合の全体に対する比率(%)が相対的貧困率になります。公表された図20の平成25年のデータで相対的貧困率が16.1%です。一億総中流と言われた時代があったので多くの人にとっては実感しにくいですが、日本でおよそ6人に1人が貧困に陥っている計算になります。

 

可処分所得は家計収入から税金や社会保険料などの非消費支出を差し引いたものです。

可処分所得=家計収入-非消費支出=消費支出+貯蓄
家計収入 =非消費支出+消費支出+貯蓄

「等価可処分所得」とは世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値です。
可処分所得 244万円の場合の等価可処分所得は次のようになります。

・1人世帯→244÷√1 = 244(万円)

・2人世帯→244 ÷√2 = 173(万円)

・3人世帯→244 ÷√3 = 141(万円)

・4人世帯→244 ÷√4 = 122(万円)

 

一番単純な計算方法は世帯員数で割った1人当たりの所得を計算する方法ですが、そうしない理由は下記のように一人当たりの所得を計算した場合:

・可処分所得 488万円の2人世帯→488÷2=244(万円)

・可処分所得 244万円の1人世帯→244÷1=244(万円)

1人当たりの所得が同じ値になりますが、実際には前者の2人世帯の方が何か生活品を購入する場合には2人で財産を共有して使うことができるため、1人のためにすべての生活品をそろえなければいけない1人世帯よりも2人世帯の方が豊かな生活を送っているように感じられます。

そのために世帯員の生活水準をより実感覚に近い状態で判断するために、家計の可処分所得を世帯員数の平方根で割ったものが使用され、等価可処分所得といいます。

図21の子どもがいる現役世帯の世帯員について累積度数分布をみると、「大人が一人の世帯員」は、等価可処分所得金額が30 万円台から170 万円台までに集中した分布となっており、「大人が一人の世帯員」の54.6%が貧困線を下回っており、母子家庭の多くが貧困に陥っていることがこの図からうかがえます。

図21 子どもがいる現役世帯の
   等価可処分所得金額別にみた世帯員数の累積度数分布

教育費負担の重さは,家計の収入が低いほどより深刻なものとなることが容易に予想されることから,収入の格差は教育機会の格差に直結するおそれがあるとの指摘がなされています。
貧困家庭が増えると、その家庭の子供たちが低学力・低学歴に陥り、大人になった時に収入が高い職業に就くことが困難で低収入の仕事に就くとまたその子供も低学力・低学歴に陥り、貧困の連鎖につながっていく可能性が高いです。

したがって、貧困の連鎖を断つためには親が良い職業に就くことがとても有効だと考えらえます。

就職面接では第一印象によって大きく左右されると言われております。

さまざまな就職エージェントが面接で重視される要素の上位に「態度・仕草」「話し方」、「あいさつ」「身だしなみ」「入室・着席の仕方」などを挙げています。

 面接マナーで「身だしなみ」は大切な素養ですが、貧困に陥っている人がふさわしい服を買うことは経済的に大きな負担ですので、やむを得ず、ふさわしくないと自分で思える格好で面接に行き、気後れして第一印象が悪くなり、ずっと良い仕事に就けないでいる可能性があると考えられます。

 100%面接に通る保証があるなら、ふさわしい服を購入しますが、そうではないので、ふさわしい恰好で面接を受けることができず、他の応募者と自分の服装を比較して身の置き場のない、気まずい気持ちになることで、自信のなさそうな表情になり、職務遂行能力がなさそうに見え、面接に通らないという悪循環に陥っていることがあると考えられます。

収入が少ない中でリクルートスーツを購入することは大きな負担ですのでリクルートスーツを集め、収入の少ない女性たちに寄贈や無償レンタルすることで経済的な、また心理的な負担を大きく減らせます。

だからあなたの不要となったスーツや仕事着が貧困の女性にさしあげればその女性の人生を良い方向に転換させられる可能性があります。その一着が一人の女性だけではなくその家庭、地域社会にとっても大きな利益をもたらします!
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各種世帯の生活意識別に世帯数の構成割合をみますと、「苦しい」と答えた世帯の割合は「母子世帯」が 84.8%、「児童のいる世帯」が 65.9%となっており、子供のいる世帯が生活が苦しいと感じていることがうかがえますが、その中でも母子家庭はとりわけ生活が厳しいと感じていることがうかがえます。(図 23)。

図23 生活意識別にみた世帯数の構成割合

平成21年度 文部科学白書によると、大学卒業までにかかる平均的な教育費は,全て国公立に行った場合約1,000万円,全て私学だと約2,300万円かかります。そのため、両親の収入が高いほど4年制大学への進学率が高い傾向にあります。

 内閣府「社会意識に関する世論調査」(平成20年2月)によれば,教育費の高さが少子化の最も大きな要因の一つでした。したがって、貧困が進めば少子高齢化社会の傾向がますます強くなっていくと考えられますし、日本全体に低学力・低学歴の人が増え、日本の産業の国際競争力が低下する可能性も高く、犯罪も増加し、それに伴い治安の悪化も懸念されます。

教育費負担に関する国民の意識調査結果

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